こんにちは!澄華(ちょうか)です(*^_^*)
4月から、日本習字・臨書部課題で、小野道風の『屏風土代(びょうぶのどだい)』に取り組んでいます。
初めて臨書したとき、その流れるような線に、思わず息をのむような気持ちになりました。今では、筆の運びや余白の美しさに見とれてしまい、うっとりと眺めてしまうこともあります。
今月は、そんな和様書道の美しさに、あらためてじっくりと向き合っています。

小野道風とは──和様の美を築いた人
小野道風(おのの とうふう)は、平安時代中期を代表する能書家のひとりで、「三跡(さんせき)」と呼ばれる書の名手のひとりです。
それまで主流だった唐風の書に、日本らしいやわらかさや情緒を取り入れ、和様書道の道を切り開いた人物として知られています。
その書は、どこか品があり、しなやかで、静かに流れるような筆づかいが特徴的です。現代に生きる私たちにとっても、どこか親しみを感じるようなやさしい美しさを持っています。


雨の日のカエル──道風の逸話
そんな道風には、ちょっと心あたたまる有名な逸話があります。
ある雨の日、道風は庭先で、柳の枝に飛びつこうとしている一匹のカエルに目を留めました。何度も失敗しながらも、あきらめずに挑戦し続けるカエル。やがて、風に揺れた枝がたまたま低く垂れ、ついにカエルは枝に飛び移ることができたのです。
この光景に、道風は深く感じ入り、「努力を重ねていれば、道はひらける」と心を新たにしたと伝えられています。
このエピソードは、花札にも描かれており、「柳に小野道風」として親しまれています。
この話にふれるたびに、私も書道をコツコツ続けていくことの大切さを改めて感じます。小さな一歩の積み重ねが、きっと大きな力になるのだと信じながら、筆をとっています。

『屏風土代』を通して見えてきたこと
『屏風土代』は、小野道風が書いたとされる屏風の下書きで、草仮名を交えたやわらかな筆致と絶妙な余白の美しさが魅力の作品です。
はじめは線の形を追うことに精いっぱいでしたが、書き重ねるうちに「どこで力を抜き、どこでとどめるのか」といった筆の呼吸が少しずつ見えてくるようになりました。
そんなリズムが体と心が一体となり、ダンスの様に感じるようなやさしい美しさを持っています。
書いているうちに、文字の流れに合わせて体がすっと動き、筆運びがまるでダンスのように心地よく感じられました。書くことの楽しさと心地よさを、全身で味わった時間でした。
6月は特に、「一字の中の動き」と「全体の流れ」のバランスを意識して取り組みました。すぐには思うように書けませんが、書くたびに新しい発見があります。

書とともに季節を歩む
『屏風土代』に向き合ううちに、線のひとつひとつが、まるで風にゆれる柳のように感じられることがあります。
その揺らぎの中にある静けさや強さ、そして和様の美しさを、これからもじっくりと味わいながら学んでいきたいと思います。
来月も、少しでも心を込めて筆を運べますように──。
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